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写真集
UWAKAI

2015年の春から2021年の夏までの約6年間、四国の南西部を断続的に旅した。

そこは透明度の高い宇和海に面し、リアス式海岸が続く美しき最果ての地。

 海に山々が突き出す平地の少ない地形に人々は石を積み上げ、集落や段々畑を作ってきた。

どんな場所であってもここで生きていく——

時を経ても崩れない石垣は、そんな意思を無言で体現しているように思えた。

 南国の盆の夕暮れを流れる、濃密な湿度を含んだ空気。

冬の岬の突端で出遭った、海を引き剥がすように吹き荒れる潮風。

辺境での移動は、つねに風とともにあった。

 入江と入江を繋ぐ海沿いの細くうねる道、はるか九州の地の先に沈む真紅の夕陽。

カメラとともに旅しながら何度角を曲がり、何度その光を見ただろう。

 通い続けることで、視座に浮かび上がってくる土地固有の「精神性」。

あの瞬間、あの場所で。

写真を通してそれに触れたというかすかな感触が、今も残っている。

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